エニアグラムは自分のことを知るための、また人間の性質を学ぶための叡智であり、ツールでもあります。エニアグラムでは、「何をしているか?」ではなく「なぜ、それをしているか?」に注目します。表面的な性格や特徴よりも、その人の行動、考え、感情などを無意識に動かしている「動機」に注目するのです。
生活のなかで自分自身の「動機」を意識できるようになると、自分の行動パターンの理由が理解できるようになり、意識的に行動や考えを選びやすくなります。自分を動かしている「動機」を知らないと、無意識に困ったパターンを繰り返してしまうかもしれません。
エニアグラムの特徴
世の中で紹介されている自己啓発の方法の多くは、理想的、または効果的な行動や考え方にに合わせて自分を変化させるスタイルが多いと思います。
エニアグラムが特徴的なのは、もともとの個人の特性の中で成長し、特性を生かす生き方を習得できるところだと思います。また、他者のあり方を深く知り尊重することで、人間関係も改善することができます。
タイプ判定の難しさが唯一の欠点?
タイプ判定は簡単な場合もありますが、かなり難航したり、正しいタイプにたどり着くまでに何年もかかってしまう例もあります。それでも、正しいタイプにたどり着き、なおかつ本気で人間的な成長をとげたいと思う人にとっては大きな財産となります。
タイプ判定が難しい理由
タイプ判定が難しい理由はひとつではないです。ここでは筆者なりに理由のひとつを説明してみます。
人は自分の精神を守るために、それぞれの人生経験を通してつくり上げてきた防御システムをまとっています。みんな異なった人生を歩んできたわけなので、(9つの性格にそった傾向はあるものの)一人として全く同じ防御システムをまとっている人はいません。このことが、同じタイプでも全く違って見える理由の一つです。また、防御システムは自分自身が本当の自分の姿を見ることも難しくします。
タイプ判定の作業は、防御システムをつくり上げてまで必死に守ってきたその人の本陣(本当の姿)をあらわにしてしまう作業とも言えます。防御システムが強固な人ほど、本当の姿がなかなか見えてきません。こうした意味では、タイプ判定が難しいことは自然なことといえます。
エニアグラムを敬遠したくなる理由
人間を9つに分類できるなんておかしい?
「人間は9つに分類できるほど単純ではない」という意見はよく聞きます。
エニアグラムは、人の似た部分を探しているように見えて、実は限りない違いを学ぶことでもあります。一人として同じ人はいません。9つの違いについて学ぶだけでなく、同じタイプでも一人一人違ったバリエーションについて学ぶことで、人間への理解が驚くほど深まります。ここにエニアグラムの醍醐味があるように感じます。
本当の自分を受け入れるのは難しい
エニアグラムは自分の明るい面だけでなく、暗い面とも対面することになるので、敬遠したくなる人もいるかもしれません。
初めて自分のタイプを自覚した時に、「自分の本当の姿」が暴かれてしまったような気がして恥ずかしい気持ちになる人は多いようですが、同時に自分の本当の姿を深く理解してもらったと感じる人もいます。
すべては光と闇の両方を持っています。「あなたの長所は、あなたの最悪の敵になり得る」ことは、エニアグラムでもよく言われることですが、逆に「あなたの短所はあなたの強味でもある」ことを教えてくれるのも、エニアグラムです。
エニアグラムの起源
エニアグラムの原型になったものは古代までさかのぼるといわれ、ギリシャ哲学が源流といわれます。イスラム神秘主義のスーフィーとの関係性が指摘されたこともありました。
現代のエニアグラム論の起源についても意見が分かれています。キリスト教系のエニアグラムの専門家によってキリスト教(カトリックなど)との強いつながりが強調されることもあり、実際に複数のキリスト教の宗派で教えられていますが、エニアグラム自体は宗教の枠を超えて多くの人々の助けとなっています。
